手塚夏子の実験「死角のつくり方」の記録

この3年ほど、私は人々がSNSにコントロールされてしまっているような気持ち悪さをずっと感じていた。投稿している間に、何かに引っ張られてしまっているような感じ。一体何に、どんなふうに引っ張られているのだろう?それをどうしても解き明かしたくて、それがどんな構造で起きているのか考察した。
図式は簡単に言うとこんな感じ。

      視▽野
      分⇄断
      死▲角

ここ3年どころかずっとずっと昔から、私たちは絶えず似たような構造でコントロールされ続けてきたのかもしれない、と思い当たった。それって、とても胸糞悪いけれど、観察することはとことん面白い。

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福岡、東京、オンライン

ノーム・チョムスキー著『メディア・コントロール』という本に書いてある文脈、すなわち何がしかの利権を守るため、あるいは利益増大などを目的に、うそや捏造を含めた印象操作を通して大衆の考えを操作し、世論形成をする方法をダイレクトに再現する実験として、「死角のつくり方」と題した実験を福岡、東京、オンラインで行った。


福岡および東京で行った実験内容

実験に参加してくださった方々を「広告代理店メンバー」と捉えて、何がしかの利権獲得を目的とした世論操作のための会議を開いた。

1)手塚のプレゼン

広告代理店を通して、利権を得ようとする立場の者たちがどのように世論を操作するか?世論操作のために広告代理店が行なっていると予想される方法を公式および構図として示した。

問題 ▷ 唯一の解決策 ⇨●●利権(実際には、この公式を逆に辿る。すなわち①利権 ②そのための唯一の解決策 ③問題)

2)アイデア出し

その公式/構図をもとに、今まで「利権」として認識されたことのない新たな「利権」を想像して創造する遊びとして、それぞれに面白いアイデアを出してもらった。また、その利権を得るためにどのような「問題提起」やそのための「唯一の解決策」を捏造するかのアイデアや、それに対してあらかじめ用意される賛成、反対意見を出していった。

3)利権のアイデア

福岡で出たユニークな利権のアイデアは「白色利権」(★会議の写真)

東京では3回行ったため、3つの利権アイデアが出された。すなわち「接触利権」、「パンダ利権」、「しゃがみ利権」。

4)実験の続き オンライン実験へと展開

東京で行った3回の実験でアイデアが出された3つの利権を使って、実際に世論操作を行うオンラインでの実験を計画した。そのために、東京での実験に参加した方の中で、実験の続きとしてオンラインでの実験に参加してくれる方を募った。彼らは「広告代理店メンバー」としてその実験に参加することになった。


オンラインでの実験に「広告代理店メンバー」として参加する方へのメッセージ及び説明文

「合意のでっちあげ」に関する実験で、手塚の「合意のでっちあげ」にならないよう気をつけていますが、そういったパラドックスに陥ってしまう危険はいつも伴っているのだという自覚を持ち続けたいと思っています。

実験の続きは、我々「広告代理店チーム」が他の参加者に対し「死角」に目をやらないようにし、分断を煽って、利権を得る方向に議論を展開させようとするゲームのような感じになる予定です。他の参加者の方々もゲームのように楽しめる雰囲気にできたらと考えています。

1)手塚からのプレゼン内容。

世論操作のための公式/構図

問題 ▷ 唯一の解決策 ⇨●●利権(実際には、逆を辿る。つまり①利権 ②そのための唯一の解決策 ③問題の順に考える)

本来なら世間にはさまざまな角度からの多様な見解があるという状況の中に

恐怖を与えるようなきっかけとなる事件や、専門家の発表、ある問題が急遽クローズアップされることなどに極度に注目させ、感情を刺激し、視野を狭くさせ始める。

多様さが許されない雰囲気を生じさせる。

前提を固定化させる

そのためのキーワードを連発させる

正義に訴えかけることで、見解がひとつに絞られる。(ここまでのスピードはとても早い。)

一つの見解が生じると、自動的に「唯一の解決策」が示される。

そして、それに対し、賛成か反対か、世間が二つに分断される。

そのことで、死角が生まれる。

反対意見はあらかじめ用意される。

無難な反対意見と、それに対する解決策が用意される。ある論点に議論のポイントを集中させておく。あるいは極端な反対意見で感情を刺激し、憎みあわせる。あるいは、反社会的だったり非論理的だったりする意見の中に死角の中に収めておきたい議論の内容を混ぜる。死角に収めておきたい意見を言う人たちにレッテルを貼り、恥をかかせ、社会的に抹殺する。

賛成意見も用意される。

心を動かす正論を書く、反対意見に対する解決策を示す、反社会的、非論理的意見への正論など。

2)実験の続きで行う内容

zoomに集まり、手塚が実験の趣旨を説明します。

そのあと、全員画像を消してチャットを開始する際に各人が名前を変え、人によっては自分の素直な反応として、あるいは別人になりきった反応として意見交換に参加します。

今回「広告代理店のチーム」として参加してくださるみなさんには、手塚の問題提起に対する反応として、

a. 賛成側の心を動かす正論または日和見な意見(作られた個人的エピソードなども随時盛り込みましょう)

b. 用意された反対意見

c. それ(b)に対する解決策

d. 極端な反対意見や非論理的な反対意見

e. dに対する感情的な反応 (作られた個人的エピソードなども随時盛り込みましょう)

など、役割を決めて反応してください。2つ以上担当できます。決められた反応以外にも、「広告代理店メンバー」として「死角」を守り、利権を達成するために自由に反応できます。

手塚が意見交換の終了を告げることで実験を終えます。

そのあと、フィードバックの時間になり、初めて参加する方の感想や反応をまず聞きます。

そのあと、手塚が実験の種明かしをします。

最後に、「広告代理店」メンバーとして参加してくださったみなさんもぜひ感想やご意見を聞かせてください。


「合意のでっちあげ」実験発表2022オンラインの記録

オンラインでの実験は3回行われた。zoomのチャット機能を利用し、ある人物からの問題提起に関するディスカッションを行うというスタイルであった。3回の実験で問題提起の内容はそれぞれ違っていた。それぞれの回で、参加者は裏に広告代理店の存在がいることを知らされず、単に手塚夏子のオンラインバージョン実験であると告げられている。一方3つの広告代理店チームが東京での実験で行った会議をもとに戦略をさらに具体的にするためGoogleドキュメントを使って世論操作の作戦を練っていた。そして当日は普通の参加者を装ってそれぞれの役割を演じた。それぞれの回での広告代理店チームの戦略と、当日の実験で繰り広げられたチャットでのディスカッション全記録をGoogleドキュメントのリンクでご覧ください。


1回目の実験 9月11日

広告代理店による戦略内容


オンラインでの実験におけるチャット記録


2回目の実験 9月13日

広告代理店による戦略内容


オンラインの実験におけるチャット記録


3回目の実験 10月3日

広告代理店による戦略内容


オンラインの実験におけるチャット記録

「合意のでっちあげ」に関する実験WS

ノーム・チョムスキー著「メディア・コントロール 正義なき民主主義と国際社会」という本の中にある「合意のでっちあげ」という言葉をキーワードにした実験作りWSのホームページです。

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