真吉(まさきち)の実験「ダンスにおけるユニゾン(一致)」の記録


今年のはじめ、Facebookに「合意のでっちあげ」に関する実験作りワークシ ョップという手塚さんの投稿が目に入った。

合意をでっちあげる?なんだか面 白そう!

と思って軽い気持ちで参加した。3月から、手塚さんや参加者の方々 と対面で色んなことを話した。自分の日常の些細な問いからはじまり、社会に 対する考え方や捉え方など、普段聞くことができないようなは話は非常に興味 深く、いつも時間なはあっとういう間だった。私はこれまで生きてきて

「普 通」を求められることが非常に苦痛

であった。社会の常識、日本人としての普 通はこれまでの歴史や文化で存在することは理解できるが、それだけが全てで あるのはどうだろうか。またコロナ禍となり、マスクやワクチンに対する考え 方は、身近で非常に難しい問題であった。その中で、でっちあげには、普段は 気にもとめないような、

見えない構造があるようだ

と感じるようになった。



【お試し実験1】(2022/3)

いつの間にか巻き込まれている、状況を作ってみる実験。 ・Yes,andゲームを実施後、付箋に「幸せなこと」「幸せでないこと」を一つ ずつかく。シャッフルして、全てを「yes,and」で受け入れてマイムでやって みる。(参加者3名) →みんなが酔っ払っているような高いテンションでいつの間にか行っていた。 特に「戦争しよう」をいいね、いいねと受け入れるのは周りの同調圧力を感じ 恐ろしかった。


【お試し実験2】(2022/4/15)

ダンスのユニゾンをテーマの実験。 ・1人1つずつ簡単な動きを提案し、つなげて1つのダンスを作る。リーダーに なる順番を決め、リーダー(1名)は指示書に従いユニゾンの精度を上げるよ うダンサー(3名)に指示を出す。(参加者4名) →作ったダンスが複雑になってしまい、ユニゾンが難しく、参加者の身体的負 担となった。指示を出すリーダーが真面目で指示書を全うしようとすればする ほど、耐え難い時間が続き、ダンサーはプレッシャーを感じた。また参加者の トラウマを喚起してしまった。


【実験当日】(2022/8/10) 「ダンスにおけるユニゾン(一致)」をテーマとした。 以下は、実験当日のためのメモである。

~合意のでっちあげ~ これから実験を行います。その中で、ご自身に起こっていることを観察してく ださい。もしかしたら不快な気持ちになることもあるかもしれませんが、それ も楽しんでいただき、最後のフィードバックでお伝えください。

それでは、私の実験テーマは、 ユニゾンです。

ユニゾンとは、ダンスでダンサーが同じ動きをすることをさす。特にクラシッ

クバレエでのコールドと呼ばれるダンスでは、一糸乱れぬ動きが美しいとされ

る。この同じ動きをやる、というのは、学校や社会生活の中で協調性を求めら

れることに似ているのではないか、という疑問からはじまっています。


以下引用

「創作ダンスにおけるユニゾンに関する研究 ―全日本高校・大学ダンスフェ スティバル(神戸) の受賞作品に着目して―」

天野絵美(筑波大学大学院)より

→→→→→→ ユニゾンとは「グループで一定の動きが同時になされること」(スミス, 1984,p.67)と述べ られている。ユニゾンが用いられる背景には「同じ運動 を行う舞踊手が多ければ多いほど訴える力が大きくなる」(ブラムら,2005, p.319)等 の理由があると考えられる。さらに、集団の中にある「ソロの姿 は、非常に訴える力が強くなる、(中略)その主張は複雑さを加え、興味をかき 立てることによって集団の力をも際立たせ強調する」(ブラムら,2005, pp.322-323)等の効果をもつことが述べられている。以上のことか ら、ユニ ゾンにはより強く観る人に訴える力があることがわかる。

→→→→→→

今回の実験では、ユニゾンの「動きを揃える」ということに着目し、身体的負

荷や制約を体験し、日常の中で同じような体験があるのか、考えてみたいと思

います。

参加者(5名)の皆さんには、簡単な振付を踊るダンサー役(4名)と1名の

リーダー役をやります。

【実験のやり方】

まず参加者はリーダーとなる順番を決める →次に、振付カード「5歩、歩く」、どの向き、どうはじめるか、などみんな で話し合って決める →1番のリーダーがカードを引き、みんなに指示を出す。納得するところま で、できたらリーダーを交代する

(リーダーのカードの内容)*リーダーのみ見て指示を出す

1全員の動きを揃うよう、丁寧な声かけをする

2より動きを揃えられるように、動きを変更してもよい

3北朝鮮の軍隊のように、ピッタリ揃うように声かけをする

4より動きが揃うように、気持ちもひとつになるように声かけする。

5みんなが揃っていないと、リーダーの責任が問われます。場合によっては命

の危険があります。

→体験後は、体験の感想を共有しました。

・女性のリーダーの時はバレエ団のような気持ちになった

・3の時は北朝鮮、5の時は消防団の訓練を思い出した。

・4の時の「気持ちを一つに」の声かけは動きが揃いやすかった。体が静かに

なっていった。

・5のリーダーの緊張が伝わったからか、動きがチグハグになった。

・奴隷的で面白かった

・職場のことを思い出した

・指示書が変なこと書いてあるわけではないが、抑圧行動のように見え不気味

だった(見学者)


~初めての実験の感想~
ユニゾンで動きを揃えることを目的としているが、4 つ目の指示書の「気持ちを ひとつに」の声かけが一番揃って見えたのが興味深かった。感想の中の、「奴隷 的で面白かった」というのは、これが実験だとわかっているからで、実生活の中 だったら笑えないだろう。実験作成には細部まで様々な配慮がいることが分か った。反省としては、自分の実験の目的をより明確にできるともっと良かったと 思った。今後は、振付を複雑にする、また指示書の言葉を変えるなど様々な発展 が考えられる実験である。そしてそもそも「ユニゾンが美しい」という概念も疑 いを持ちはじめている。


作成・真吉(まさきち)2022/12/4

「合意のでっちあげ」に関する実験WS

ノーム・チョムスキー著「メディア・コントロール 正義なき民主主義と国際社会」という本の中にある「合意のでっちあげ」という言葉をキーワードにした実験作りWSのホームページです。

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